今回は「患者さんへの説明の仕方」について!
私たち視能訓練士は日常の業務の中で患者さんと話す機会がたくさんあり、「相手にわかりやすく伝える力」は視能訓練士のスキルとして大きな意味を持ちます!
若手視能訓練士の方々の中には
- 自分の伝えたいことが患者さんに伝わらない
- 何から説明したらいいのかわからない
などと感じている方がおられると思います。
そこで今回は私が患者さんに伝わりやすい説明をするために意識している「伝わりやすい言葉選び」について紹介していきます!
わかりやすい説明とは?
「わかりやすい説明」というフレーズはかなり抽象的ですよね!そのため人それぞれ「わかりやすい説明」に対して持つイメージは様々だと思います!
皆さんは「わかりやすい説明」というフレーズからどのようなことをイメージされますか?
以下で具体的に解説をしていきます!
相手の理解度に合わせた言葉とは?
一般的に眼科業界で患者さんに伝わりやすいとされている言い換えをいくつか挙げてみます。
- 眼圧→眼の硬さ
- 近視→裸眼で遠くが見えにくい、近くは見える
- 老眼→年齢を重ねてピント合わせの力が弱まる
患者さんに伝わりやすい言い換えだと思います!
ここで患者さん1人1人の理解度を踏まえて1歩踏み込んで考えると、この言い換えの表現が「必要な人」と「必要ない人」がいると思いませんか?
- 何十年も通院している緑内障の患者さんには「眼の硬さ」よりも「眼圧」と言った方が伝わりやすいことも。
- 老眼世代で眼鏡を何本も持っている患者さんには「年齢を重ねてピント合わせの力が弱まる」よりも「老眼」と言った方が伝わりやすいことも。
ケースバイケースではありますが、患者さんの理解度によっては専門用語を言い換えずにそのまま「眼圧・老眼」という形で言った方が伝わりやすいことがあります!
相手の理解度に合わせた言葉選びができれば、冒頭でお話した伝わりやすい説明ができる大きな1歩になると思います。ここから先は相手の理解度を見極めるポイントを紹介していきます。
【1番重要】相手の理解度を見極めるポイント!
相手の理解度を見極めるには「相手の眼科知識のレベル」を判断していく!これを説明前や説明中に見極めることができたら理想的です。
その中で相手の理解度に合わせた言葉選びに方向転換していくイメージ!
患者さん(相手)の眼科知識のレベルが「高いと良い」、「低いと悪い」ということはまったくありません。そこはどちらでもよくて説明の際に使う言葉選びの目安としていきます。
【実例紹介】どのタイミングで理解度を見極める?
患者さんから質問を受けた際に見極められることが理想的ですが、最初の段階では相手の理解度がわからないこともあります。説明中に見極めていくことも。
80歳 男性、両眼とも1ヶ月前に白内障手術を施行し、眼内レンズ(IOL)挿入眼。RV、 LVともに、0.1(1.5×S-3.0D)の患者さんから質問を受けたとします。以下に例を2つ出してみます!
例1
質問内容:手術を終えて近くはよく見えるが、遠くが見えにくいです。どうしてでしょうか?
この質面から「眼科知識はあまり豊富でないかも?」という前提で返答をしていく!裸眼で遠くが見えないことが気になっているのだなと判断して、近視という状態(近くは見えるが遠くはぼやける)を丁寧に伝え、「手術をして手元にピントが合う度数になっていること」、「遠くは眼鏡をかけるとよく見えること」を伝えてみる!
例2
質問内容:今回の手術で近視を残してもらったので、手元はよく見えます。遠くは眼鏡で見ているのですが眼鏡のかけ外しが大変です。遠近両用の方がいいですか?
上記の例1の質問と比べると例2では「眼科知識がある程度ありそう」と判断できます!近視の状態は理解されていることがわかります。このケースでは「近視についての丁寧な説明」に時間をかけるのではなく、眼鏡の装用歴(遠近両用の使用経験の有無)などに時間をかけていく!
このように説明前に相手の理解度を見極められると一番よいですが、実際には会話の中で見極めることもあり臨機応変な対応が求められます。これに関しては経験の要素が大きいですので、若手視能訓練士の方々はたくさん経験して自分なりの形を作られて下さい!
わかりやすい説明ができるようになると相手の反応が変わる!
自分なりの形で「わかりやすい説明」ができて、患者さんの満足度が上がってくると反応が変わってきます!
説明した後に患者さんから
- 何十年も通院しているけど初めて眼圧の意味がわかりました
- 「教えてくれてありがとう」などの感謝の言葉を言ってもらえる
*あくまで医師のサポートのイメージです。「眼圧が15mmHgだから正常です」、「OCTで〇〇なので異常です」のような診断・言い切りはしないように気をつけましょう!
端的に言えることでいろんな人とのコミュニケーションが円滑に!
自分の考えを「端的に、わかりやすく伝えられる」ことは職場のスタッフとのコミュニケーションにも役立ちます!
例えば医師から何か質問をされたときに「相手に求められる答え」を察知して端的に答えられるというスキルは自分の強みになります。
最後に
今回は、視能訓練士として説明を行う際に意識してほしい、相手の理解度に合わせた言葉選び(伝わりやすい言葉選び)をメインにまとめてみました。
説明の仕方・考え方については、様々な方法があると思いますので、1つの方法として参考にして頂ければと思います。最後まで読んで頂きありがとうございました。
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