今回は「累進レンズの処方せんの書き方」について!
累進レンズは「累進屈折力レンズ」と呼ばれます。視能訓練士の方々にとっては両用レンズの方が聞き馴染みがあるかもしれません。「累進レンズ=両用レンズ」のことです!
両用レンズには、遠近・中近・近近があり眼鏡合わせをする際はいろいろ迷うこともあると思います!そこで今回は両用レンズの処方せんの書き方を中心にまとめてきます!
【基本】それぞれの両用レンズの特徴は?
両用レンズには「遠近両用」、「中近両用」、「近近両用」があります(以下の画像参照)!
遠近両用レンズの特徴
一番の特徴はレンズに遠くから近くまでの度数が組み込まれていること!目線の移動をすることで様々な距離にピントを合わせることが多く、患者さんでも使っている方が多いですよね!
デメリットは遠近両用というレンズの構造的に周辺部の揺れ・歪みが出てくること。グレードの高いレンズにしたとしてもこの揺れ・歪みは残るとされています。(グレードを上げることで軽減は期待できる)
遠近両用レンズは合わなかったという患者さんもいますが、愛用している患者さんも多いレンズです!
遠近両用の弱みである「近用部の見える範囲の狭さ」を改善してくれるのが「中近両用」、「近近両用」!
中近両用、近近両用レンズの特徴
遠用部がないので「近用部の範囲が広くとれる」ことが特徴です!
上に提示した画像を見て頂くと、近用部の範囲の広さがわかりやすいと思います。また遠近両用レンズに比べてレンズ周辺の揺れ・歪みも少ないです!
デメリットは「遠くが見えにくいこと」、ただしこれは中近両用であればカバーできることも多いです。中近両用には様々な種類があり、「中」の距離は選択の幅がたくさんあります。
【中近レンズにはいろんな種類がある】
- 言葉通り「中間距離と近く」に合わせるレンズ。
- 遠方寄りの中近両用レンズがあったり。
- 近方寄りの中近両用レンズがあったり。
中近両用のよくある勘違い
中近両用レンズのよくある勘違いとして、「遠近両用レンズの遠用部の度数を下げたもの」と思われている方がおられると思います!
私自身、視能訓練士として臨床現場で働き始めたころは眼鏡の知識が全然なく、「遠近両用の度数の球面度数を0.5D程度下げたものが中近両用?」と思っていましたがこれは間違いでした!
上の画像を見て頂くと「遠近両用レンズ」と「中近両用レンズ」では構造が異なりますので、患者さんが中近両用眼鏡希望と言われた際は「中近両用レンズ」で合わせを行っていきます!
【ご案内】もっと両用レンズの知識をつけたいあなたへ
(一社)みるみるプロジェクトさん主催の第12回みるみるセミナーで累進レンズに関する内容を扱っています。
*視聴は無料ですが、IDとパスワードが必要となります!
みるみるセミナーの視聴を希望される方はこちらからお問い合わせ下さい|みるみるネット
ここからが本題!処方せんの書き方は?
各両用レンズ(遠近・中近・近近)の合わせができるようになったという前提で、眼鏡処方せんの書き方をまとめていきます!
ここではしっかりイメージして頂けるように実例を提示しながら解説してきます!
- 各両用レンズの処方箋でのPD(瞳孔間距離)記載は?
- コメント欄を活用することで眼鏡店と連携できる!
遠近両用レンズの処方せん
- PD記載は遠用のみで大丈夫!(近用PDを書いて悪いことはないですが)
- コメント欄に「初めての遠近両用です」など書いておくと眼鏡店で「レンズグレード」の話などを丁寧にしてもらえるかも!
*遠近両用眼鏡の処方せんで近用PDを書いたらダメということはありませんので、勤務されている施設の方針・ルールに沿って下さいね。
中近両用の処方せん
- 度数の欄は「遠近両用レンズの度数」を書く!
- コメント欄を上記の例のように活用していく!
- 「レンズ種類変更可」と書くことで眼鏡店でレンズのグレードや価格を相談して決められる!
- 「遠近両用か中近両用かを迷われています」みたいなコメントもあり!
近近両用の処方せん
- 加入度数がマイナス加入になることに注意!奥行きを出すイメージ!
- PD記載は近用のみで大丈夫!(遠用PDを書いて悪いことはないですが)
- コメント欄を上記の例のように活用していく!
最後に
今回は各累進レンズの処方せんの書き方を中心にまとめました!
慣れるまでは本当に大変だと思いますが、累進レンズの眼鏡合わせができるようになると患者さんに喜んでもらえることも多いです!
眼鏡合わせでは、問診、手順、処方せんの書き方など難しいこともあると思いますが、今回の内容を参考にされてみて下さい。
*眼鏡処方は医師の指示のもと行われるものです。処方せんの書き方は勤務されている施設の方針・ルールに沿ってされて下さいね。