今回は「ハンフリー視野検査(HFA)」について!
ハンフリー視野計(HFA)は比較的スムーズに検査できることが多いため、若手視能訓練士の方が測定を任されることが多い検査の1つかなと思います。
ただ一方で「固視不良・偽陽性・偽陰性がたくさんついてしまうとどうしたら良いかわからない」という経験があるのではないでしょうか?そのような時に備えて今回はHFA測定時に知っておくと良いポイントを紹介していきます!
まずは固視不良チェックを意識する!
固視不良の境界値は20%と言われており、固視不良が20%以上つくと、その測定結果の信頼性が落ちることになります。1)
1)松本長太. 理解を深めよう視野検査. 金原出版, 2015 ,38.
- 固視不良が少ないほど検査結果の信頼性が上がる!
- なんとかして測定中の固視不良を20%未満に抑えたい!
- 固視不良が多い時はしっかり声掛けしよう!
検者としてはこのような気持ちで検査に臨んでいると思います。
固視不良が多い場合の対処法は?
固視不良(+)ということは見えないはずのマリオット盲点に出された光も押してしまっている。「眼がキョロキョロしている or キョロキョロしていない」かによって対処法が変わってきます!
①視標を探そうとしてキョロキョロしている場合
この場合は眼を動かして常に光を探している状態。固視不良判定のためにマリオット盲点に出される光も探して押してしまっている。
*この時の声掛けは十分注意しましょう!矯正視力が出にくい場合や年齢的に検査への理解が難しい場合は患者さんは必死に固視目標を見ているが眼が動いてしまっていることがあります。声掛けをしても固視が難しそうであればあまり言いすぎず診察をする医師に検査時の状況がわかるように「声掛けするも固視が難しいよう」などのコメントを残すと良いかなと思います!
②キョロキョロしていない場合
「固視不良=眼がキョロキョロ」のイメージの方が多いと思います。キョロキョロせずに固視が安定しているのに固視不良(+)になると焦りますよね!
このケースでは
- HFAの機械が初めに設定したマ盲点の位置がズレている可能性
- 偽陽性による固視不良検出の可能性
マリオット盲点は耳側15°、下方3°(多少の個人差あり)の位置にあるとされていますので、測定画面で機械が位置合わせしたマ盲点の位置を確認。ズレがあれば「盲点の再チェック(再測定)ボタン」を押す!
それでも改善がない場合は「偽陽性による原因」を考える!患者さんが検査を頑張りすぎている状態。見えないはずの光も押しているからキョロキョロしていなくても固視不良(+)となっている。
*実際の声掛けは「薄い光は迷うこともあると思いますが、見えたか迷った時はボタンを押さずに待ってて下さい」のような形で大丈夫です。
①のパターンに②も合併していることもある!?
キョロキョロと固視が動いていたので、中心の固視目標(オレンジの光)を見るように声掛けを行った→固視は改善され、しっかり固視目標を見れているのに固視不良が検出され続けてしまう。
①のパターンを改善したにも関わらず、まだ固視不良(+)となるケース。②も合併している可能性を考えます。先ほどの②の流れと同じように「マ盲点の位置確認」と「偽陽性による原因」を考えて対処していきましょう
偽陽性・偽陰性のどちらかが多く検出される場合
偽陽性・偽陰性の境界値は33%(SITAモードでは偽陽性のみ15%)と言われており、境界値を超えるとその測定結果の信頼性が落ちることになります。1)
1)松本長太. 理解を深めよう視野検査. 金原出版, 2015 ,38.
- 固視不良と同様に、偽陽性・偽陰性も少ないほど検査結果の信頼性が上がる!
- SITAモードを使うことが多いので測定中の偽陽性は15%未満、偽陰性は33%未満に抑えたい!
- 多い時はしっかり声掛けしよう!
そもそも偽陽性・偽陰性とは?
偽陽性→本来なら見えないはずの明るさの光も押している状態。
偽陰性→本来なら見えるはずの明るさの光だが押せていない状態。
イメージは「偽陽性:患者さんは頑張りすぎている」、「偽陰性:患者さんは遠慮している」のような感じです!多く検出されると検査結果の信頼性が下がるので、それぞれに合った声掛けで対処していく!
偽陽性・偽陰性のどちらかが多く検出された時の対処法
- 偽陽性が多く検出される時→患者さんは頑張って押しすぎているので、迷った時は押さずに待ってもらう!
- 偽陰性が多く検出される時→見えるはずの明るさだが押せていないので、迷った時は押してもらう!
偽陽性・偽陰性のどちらかが多く検出される場合はこのような声掛けがおすすめです!
最後に
今回は、HFA測定時に知っておくと良いポイントについてまとめてみました。
声掛けの際は今回の内容を参考にされてみて下さい!