こんな時どうする?【近視性不同視の小児眼鏡処方編】

*本記事はアフィリエイト広告を利用しています。

いつも読んで頂きありがとうございます。

臨床で働いていると、「小児の初めての眼鏡処方」を行う機会が多々あり、自分自身、新人の頃は初めての眼鏡処方で特に迷うことが多かったことを覚えています。

そのような経験から、今回は「片眼のみ近視がある小児の初めての眼鏡作成をするか否か」の考え方についてに書いてみようと思います。

「どのような検査が有効か」「保護者の方への眼鏡作成理由の伝え方・説明の仕方」などについてまとめていきます!

※今回の話では、矯正視力・立体視機能良好で、眼位異常はないものとして話を進めていきます。

目次

片眼のみ近視の場合、なぜ処方に悩むのか?

この答えはシンプルです。→本人が裸眼で見えていると言うからです!

例を出してみます!

例)7歳男児 学校健診で左眼の視力低下を指摘。

S) 現在、小学1年生で黒板見えている。席は一番後ろ。眼鏡を作ったことはない。

[レフ値] 据え置き型オートレフケラトメータ

<R> SPH   CYL  Axis   <L> SPH   CYL  Axis 

 1   -0.5 -0.25  5  9  1 -2.75-0.25   5  9           

 2   -0.5 -0.25  5  9  2 -2.75-0.25   5  9 

 3   -0.5 -0.25  3  9  3 -2.75-0.25   5  9

   < -0.5 -0.25   5  > <-2.75 -0.25   5  >

[ケラト値]

R)AVG 7.90mm、L)AVG 8.00mm 角膜乱視はなし。

[眼軸長]

R)23.75mm、L)24.45mm 左眼が0.7mm長い。

[視力検査] 字ひとつ 指さし 

RV=1.5(1.5×+0.25D)

LV=0.15(1.5×-2.25D)  左眼のみ近視がある。

BV=1.5    

※冒頭で書いたように、眼位異常はないものとして話を進めています。

このようなケースでは右眼視力が良好なため、左眼に近視がありますが、本人は見えていると言います。しかし、ORTとしては、左眼に近視があるため、このまま裸眼で様子見という選択は何か違和感がある気がしますよね!→こんな時にどうするのか?

こんな時は、
『立体視検査を行い、両眼視機能を評価する!』
これを行うことで眼鏡作成の必要性を評価することができます。

本人は、裸眼での世界しか知らないため、見えていると言ってくれますが、自覚の応答だけでなく、立体視検査などの他覚的な検査結果も踏まえて、眼鏡作成の評価を行うことはORTとしての腕の見せ所かなと思います!

このケースの立体視検査はs.c.とc.c.で!

上記したように、片眼のみ近視がある場合は両眼視できているかが眼鏡作成の判断基準に有効です。

そこで立体視検査は裸眼と矯正下で行う!

裸眼で不良(やや不良)で、矯正下で良好となる場合は眼鏡を作成するという流れになります!

これはあくまで私の体感(経験則)になりますが、0.75D~1.0D程度の不同視差であれば、裸眼でも両眼視ができている印象です。それ以上の不同視差があると、裸眼より矯正下で立体視の反応が良くなることが多いかなと思います!

※立体視検査のみで眼鏡処方の必要性を判断するということはなく、あくまで目安となります。年齢にもよりますが、1.0程度以上の度数差がある場合は眼鏡処方を検討することが多いです!

保護者への眼鏡作成理由の伝え方は?

このケースの場合は、本人は裸眼で見えているということが多いため、保護者の方へなぜ眼鏡作成を行うのか?」の説明も重要となります!

例えば、両眼とも近視があり本人が裸眼で見えにくさを感じている場合は、ORTからの説明が多少伝わっていなくても本人が自分から裸眼で見えにくいと保護者の方に訴えるので、眼鏡作成に理解が得られやすいです。

ただし、今回のケースのように本人が(自覚的には)、裸眼で見えていると訴える場合は、眼鏡作成の理由をしっかり伝える必要があります。

①遠近感(立体視)は両眼を使った機能であること、②両眼の見え方のバランスを整えることの2点を自分の言葉で説明できるようになると保護者の方からの理解が得られやすい印象です!

説明の際に、裸眼では遠近感が掴みにくいが、眼鏡を装用すると細かい遠近感まで掴めることも併せて伝えるとより良い説明になると思います!

最後に

立体視検査の有用性についてまとめてみました。

話がわかりやすくなるように眼位異常は含まずにまとめましたが、眼位も眼鏡作成の要因となります。

この記事の内容と眼位を絡めてみると、片眼のみ近視があり、裸眼で立体視良好であったとしても、間欠性外斜視があり、裸眼で過ごすと近視眼はぼやけて遠見でXT優位であれば、裸眼で両眼視ができていても、遠見でXPに保ちやすくするために初めての眼鏡作成を行う必要があるという評価をすることになります。

今回の記事の内容が理解できた若手ORTの方はこのような形で眼位も含めて考えられるようになると考え方の幅が広がるかなと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

目次