【臨床1年目の視能訓練士へ】~眼鏡・コンタクトと調節力の関係って?~

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今回は「臨床的な調節力の考え方」について!

主に臨床1年目の視能訓練士の方に向けて内容を構成しています。老眼世代を迎えた患者さんの眼鏡・コンタクト処方にまだ難しさを感じている視能訓練士の方はぜひ読んでみて下さい!

この記事を通して、本当の意味で調節力を理解して頂けたらと思います!まずは学生時代の調節力のイメージを振り返り、そして臨床現場での調節力の考え方についてまとめていきます。

目次

学生時代の調節力のイメージって?

若手視能訓練士の皆さんは学生時代は「調節力」に対してどのようなイメージをお持ちでしたか?

私は現在視能訓練士として7年目ですので、学生の時の勉強からはやや遠ざかっていますが、自分自身振り返ってみると「調節力=とにかく計算」のイメージでした!

第24回視能訓練士国家試験-14問より
問題:1.0Dの遠視、近点は眼前50cm、調節力は何Dか。
答え:3.0D。

調節力と言えば、上記のようなイメージでした。とにかく計算、計算、計算、のような。

「調節力=とにかく計算」のイメージで臨床に出ると、、、

臨床現場で働き始めるといろんな業務が始まり皆さんも日々忙しい毎日を過ごされていると思います!

臨床1年目の頃、私にとって眼鏡・コンタクト合わせなんて難しすぎてまったくできませんでした。

臨床現場で働き始めてしばらく経つと「調節力=とにかく計算」ではない?、という疑問が出てきました!

同じ調節力なのに、学生時代と臨床現場でのイメージが異なるのはなぜ?

こういったところが勉強の楽しいところでもあるとは思いますが、当時1年目の私の頭の中は「???でした。学生時代あれだけたくさんの計算を練習したのに、臨床現場に出てまた調節力がわからなくなっているといった状態です。

臨床現場では「年齢別の残余調節力」という考え方を用いることが多い!

上記の国家試験問題のように調節力を求めることが多かったのに対して、臨床現場では「年齢別の残余調節力」という考え方を用いていきます。

そのため学生時代に「調節力=とにかく計算」だったイメージは、臨床現場では「調節力=見える距離に幅を付けてくれるもの」というイメージに変わっていきました!

私自身、このひらめきでどんどん疑問が解決していきました!

臨床現場では残余調節力という考え方に慣れていく!

残余調節力とは「ある年齢を想定した時に平均で〇〇Dくらいの調節力は残っていますよという考え方です。以下に表でまとめてみました!

表 年齢別の残余調節力(所敬. 現代の眼科学改訂第12版. 金原出版, 2015 ,65.参考に作成)

* IOL眼、無水晶体眼は調節力は0Dとなります。

* 近点は見かけの調節力(眼鏡・CL矯正時の違い)等で多少変わりますので、上記の近点はおおよその値としてお考え下さい。

表の赤で囲んだ40歳以降の近点を見て下さい。年齢を重ねるにつれてだんだんと近点が遠ざかっています。完全矯正時の近点と難しい書き方をしていますが、「完全矯正時の近点=遠くがぴったりの状態での見える一番近い距離」のことです!

・遠くぴったり:眼鏡・コンタクトでの完全矯正や正視眼をイメージ。
・見える一番近い距離:その人が持っている調節力をフルに使った状態

もう一度、40歳以降の近点を見てみましょう!持っている調節力をフルに使っても見える距離が25cmや50cmってなんか大変そうだなと思いませんか?60歳では1mまでしか見えません。

年齢を重ねて調節力が弱ると、見える距離に幅をつけることが難しくなっている!

ここまでわかると学生時代と臨床現場で調節力のイメージが異なる理由がしっくりくると思います!

学生時代の「とにかく計算」のイメージから、臨床現場では「調節力=見える距離に幅を付けてくれるもの」というイメージに変わっていく!

いま読まれている視能訓練士を目指す学生の方にお伝えしたいのは、「調節力=とにかく計算」のイメージは正しくて学生時代に計算のイメージだった調節力が臨床現場ではまた違ったイメージに変わっていくんですよ、という内容になります。

【上達のコツ】自分でいろんなケースを想定してみる!

眼鏡・コンタクト合わせを上達させるには、いろんなケースを想定してみることがおすすめです!

臨床現場では調節障害等の症例を除いて基本的には残余調節力という考え方を用いるので、まずは年齢別の残余調節力を頭に入れておく!そのうえで、「50歳で、2Dの遠視眼だったら?」、「3Dの近視眼は裸眼だとどの距離にピントが合う?」などとにかくいろんなケースを想定してみる!

学生時代に勉強してきた遠点・近点・調節力の考え方を元により臨床的な考え方に置き換えていくイメージです。私自身たくさん失敗をして反省や振り返りをしながら上達していきました!(失敗しないのが一番ですが、、、)

老眼=年齢を重ねてだんだんとピント合わせの力(調節力)が弱まってくること!

遠点・近点・調節力に老眼も絡めていろんなケースを想定して考えてみると理解が深まってくると思います。そして裸眼・矯正下(眼鏡・コンタクト)それぞれ考えてみる!

そのようにしてたくさん考えていると

  • 完全矯正下は正視眼と同じように考えられるな
  • 近視眼は老眼になりにくいのカラクリは気が付きにくいということだったのか
  • 遠視眼が老眼になりやすい意味がわかった!
  • たしかに調節力は「見える距離に幅をつけてくれている」

といった形で嬉しい発見がたくさんできると思います!

そしてこれを患者さんとの会話で当てはめていくと、患者さんから「そうそう、そうなんよ」や「その通りです」など共感の言葉を頂けるようになったり、「どうしたらいいかな?」など頼ってもらえる視能訓練士になっていきます!

とにかくいろんなケースを想定してイメージ・理解を深めていくことが老眼世代での眼鏡・コンタクト合わせを上達させる近道になるかなと思っています!

誰でも始めはできなくて当たり前!

現在10月ですが、1年目の視能訓練士方の中には「向いていないかも」「一人前の視能訓練士になれるかななど不安な気持ちの方々もおられると思いますが、始めは誰でもできないものです!

もちろん私もたくさん失敗をしました。

  • 60歳、初めての遠近両用眼鏡希望の患者さんに加入3.0Dで処方して作成後きつすぎてかけられない。
  • 眼鏡処方せんの度数を間違えて記載して、謝罪の電話・処方せんを郵送。
  • 眼鏡合わせ時、自分なりに患者さんとの会話しようとするもまったく伝わらず先輩視能訓練士に変わってもらった。

などなど、患者さんに対して申し訳ない気持ちになりましたし、自分の自信もなくなっていきますが、努力を続けることでだんだんと上達していくものです。

始めは誰でもできないもの、失敗した時に反省・振り返りをすることで上達していく!

最後に

今回は「臨床的な調節力の考え方」についてまとめてみました!

老眼世代の対応は臨機応変な対応が求められるから本当に難しいと思います。全症例で眼鏡・コンタクトを合わせたらOKということはなく、裸眼を上手く使えないか?、眼鏡のかけ外しは負担になる?、眼鏡・コンタクトに慣れている?など。

そしていろんなケースを経験することで「患者さんが求めていることに気づける」「患者さんに必要なことを提案できる」ようになっていきます。若手視能訓練士の方々は大変な毎日だと思いますが一緒に頑張っていきましょう!

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