【視能訓練士国家試験対策シリーズ】暗記に頼らずAC/A比を理解しよう!~国試問題の演習あり(解説付き)~

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視能訓練士国家試験対策シリーズ!

今回は「AC/A比」について!

「ACって?、Aって?」「AC/A比とは?などをわかりやすく解説暗記に頼らない考え方国家試験合格に向けて一緒にAC/A比の全体像を勉強していきましょう!

この記事でわかること
  • AC/A比とは何かを本当の意味で理解できる!
  • 検査方法(gradient法、heterophoria法)がわかる!
  • AC/A比の国家試験問題の解き方のコツが掴める!
目次

【暗記に頼らない勉強法】そもそもAC/A比ってなに?

勉強したての時は「AC/A比」って聞き慣れない言葉ですよね!考えてもわからないから「とりあえず単位(Δ/D)や正常範囲(4±2Δ/D)を暗記しておこう」のような形で暗記に頼りがちになることも。

暗記に頼る勉強法だと限界がある。理解して覚えることが理想的!

国家試験合格を目指す中で、「どうしても暗記が必要」というケースもありますが、このAC/A比の勉強は暗記だけに頼らず理解して覚えることが可能です。

一旦AC/A比を分解して考えてみる!

AC/A比 解説

このように分解して考えると理解が深まってくる印象です。

AC/A比は1Dの調節(A)に対してΔ調節性の輻湊(AC)をするかの視標。だから単位はΔ/Dとなる!暗記は必要なく「AC/A比」という言葉から考えられる

AC/A比の単位がなぜΔ/Dなの?と思っていた方もここまでの内容でなんとなく理解できたのではないでしょうか?

【ここまでの復習】AC/A比の単位も暗記ではなく言葉から考える!

ここで復習です!AC/A比の単位も暗記に頼らず理解して覚える習慣をつけていく!

1Dの調節に対して何Δ調節性の輻湊をするかの視標がAC/AなのでΔ/D」という単位は暗記なく覚えることができます!

AC/A比~教科書的には?~

以下、視能学から抜粋です!

輻湊系の情報なしに調節系の情報のみを入力させた場合(open loopの条件)、調節性輻湊の量(AC)と調節刺激量(A)は、一定の範囲内で比例関係にある。この比をAC/A比という。

1)丸尾敏夫. 視能学第2版. 金原出版, 2014, 190.

「、、、チーン」って感じですよね。AC/A比に限らずですが、私の「国家試験対策シリーズ」ではどんどん言い換え噛み砕きをしていきます。

AC/A比は分解して考えよう!以下の画像でイメージ!

AC/A比 解説

AC/A比は1Dの調節(A)に対してΔ調節性の輻湊(AC)をするかの視標。

教科書を丸暗記ではなくこのように言い換えいく!

【検査方法】gradient法とheterophoria法

英語が来たら難しく感じますがAC/A比の検査方法が「たまたま英語の名称になっているだけ」とまずは気軽に捉える。難しく考えすぎないこと!

AC/A比は1Dの調節(A)に対してΔ調節性の輻湊(AC)をするかの視標でしたよね!

各検査方法ごとに「AC/A比を計算する時の条件が異なる」ということ!

gradient法

gradient法とは視標の位置を固定し、眼前に置くレンズ度数を変えることによって調節刺激を与える方法である。眼位ずれは交代プリズム遮閉試験で測定する。

1)丸尾敏夫. 視能学第2版. 金原出版, 2014, 191.

つまりgradient法は視標の位置を変えて調節を促すのではなく、「視標の位置は動かさずに装用するレンズ度数を変化させることで調節をかけさせる」。

gradient(グラジエント)法には「far gradient法」と「near gradient法」がありますが、始めから難しく考えすぎないように

  • gradient法は「装用するレンズ度数を変化させて調節をかけさせる検査方法」
  • 検査の条件は「遠見・近見」の2種類あるんだな
  • それぞれどんな内容だろう?

まずはこのくらいの捉え方で大丈夫です!以下で少しずつ本格的な内容に入っていきます!

far gradient法

「far:遠見でgradient法をして下さい」ということ。

  • gradient法は「装用するレンズ度数を変化させて調節をかけさせる検査方法」
  • これを遠見行っていくのが「far gradient法」

視標の位置は遠見(5m)で固定、被検者の完全矯正度数にマイナスレンズ(凹レンズ)を負荷していく!検者はこの時の輻湊量で測定する!

*眼位の測定はバープリズムを用いて「APCT」で測定していく!

*この時の調節性輻湊(AC)の量を診たいので両眼開放で検査を行います。

AC/A比 far gradient法 計算式

near gradient法

先ほどの「far gradient法」を「near:近見で行っていく!

  • gradient法は「装用するレンズ度数を変化させて調節をかけさせる検査方法」
  • これを近見で行っていくのが「near gradient法」

視標の位置は近見(33cm)で固定、被検者の完全矯正度数にS+3.0Dを加えた度数を基準とする。そこからfar gradient法と同様にマイナスレンズ(凹レンズ)を負荷し、検者はこの時の輻湊量で測定する!

*眼位の測定はバープリズムを用いて「APCT」で測定していく!

*この時の調節性輻湊(AC)の量を診たいので両眼開放で検査を行います。

AC/A比 near gradient法 計算式

ここまでが「gradient法」の解説となります!

heterophoria法

heterophoria法とは完全矯正眼鏡を装用する。瞳孔間距離を測定する(PD cmとする)。5m遠方の視標固視時の眼位ずれを交代プリズム遮閉試験で測定し、続いて33cm近方固視時の眼位ずれを同じく交代プリズム遮閉試験で測定する。

1)丸尾敏夫. 視能学第2版. 金原出版, 2014, 191-192.

これを読んで「もうワケがわからない」と言いたくなる人もいると思いますが、先ほど出てきたgradient法と関連づけて勉強すると理解して覚えることができる」!

gradient法とheterophoria(ヘテロフォリア)法を別々のものとして分けて考えないように!共通する部分もあるのでセットで関連づけて覚えていく!

【heterophoria法をgradient法と関連づける】

  • far gradient法と同様に基準は「遠見、完全矯正下」である。
  • gradient法は視標の位置は動かさずに凹レンズ負荷をして調節を促す。
  • heterophoria法は凹レンズは負荷しない!視標を遠見・近見に置いて視標の位置を変えることで調節を促す。さらに瞳孔間距離(PD)が計算式に組み込まれている。

つまりheterophoria法はレンズ度数を変化させて調節を促すのではなく、視標の位置を遠見・近見に置くことで調節をかけさせる。さらにgradient法では用いなかった瞳孔間距離(PD)も考慮する方法。

AC/A比 heterophoria法 計算式

*普段「mm」表記をする瞳孔間距離ですが、このheterophoria法では「cm」で計算をしていきますのでここは注意が必要です!

【これも知っているとばっちり】近見反応も併せて理解しよう!

ここまでの内容で、「なぜ調節したら輻湊するの?」と思われた方がおられると思いますがそれは人間の眼の仕組み上そうなるようになっています!

近見反応:縮瞳調節輻湊はセットで起こる。

そのため眼が調節した際には「輻湊、縮瞳」も自然とセットで起こる。今回のテーマであるAC/A比はその中で「調節と輻湊」に着目した視標ということになります!

【全5問】実際の国家試験問題を解いてみよう!

一緒に視能訓練士国家試験の過去問を演習していきましょう!

【第1問】ー 第50回 午前33問

答え:3

解説:この記事を読んで、「AC/A比」を分解して考えることができていたら大丈夫です。ACは調節性輻湊(accommodative convergence)の略語のこと。こういった問題は確実に点数を取っていく!

【第2問】ー 第54回 午前22問

答え:1

解説:問題文中には「gradient法」のみの記載だが遠見眼位と書いてあるので「far gradient法」の問題と捉える。2Dを負荷時の眼位がわかっていない」という問題。文中の情報を使っていく。c.c.での遠見眼位は6ΔXP、AC/A比は4Δ/D、遠見にて2Dの凹レンズを負荷している。2で割った時にAC/A比が4になるということは輻湊量は8Δと考えられる。

遠見眼位6ΔXPに対して8Δの輻湊をすると眼位は2ΔのEPとなる。

AC/A比 far gradient法 計算式

【第3問】ー 第42回 午前70問

答え:1

解説:これも先ほどの【第2問】と同様に考えていく。ー1.0Dレンズ負荷時の眼位は遠見のみ。「far gradient法」の問題。【第2問】と異なるのは被検者の屈折度を踏まえないといけない点!「調節量 = 負荷した度数」と間違って覚えないように!調節量は負荷した度数を考慮して状況に応じて考えていくもの。この時の負荷度数は-1.0D、被検者の屈折度は両眼とも1.0Dの遠視眼。1.0Dの遠視眼に対してS-1.0Dを負荷しているので調節量は2.0Dとなる。

次に輻湊量を考える。遠見にてc.c.での眼位は8ΔET、ー1.0D負荷時の眼位は14ΔETなので輻湊量は6Δあとは計算!AC/A比は、6(Δ)÷2(D)=3(Δ/D)となります。

【第4問】ー 第43回 午前12問

答え:1

解説:慣れてくると「瞳孔間距離」から「heterophoria法」が連想できてくる。heterophoria法は「瞳孔間距離、c.c.での遠見眼位・近見眼位」を用いる検査方法だった。

問題文を見てみると「c.c.での遠見眼位の記載あり、c.c.での近見眼位は記載なし」。これはひっかけ問題!heterophoria法に見せかけた「far gradient法」の問題。瞳孔間距離は使わずに解いていく!AC/A比は、20(Δ)÷5(D)=4(Δ/D)となります。分母の調節量が5(D)になるのがわからないという方は【第3問】の問題を見返してみてください。

こういった問題が出るのでgradient法とheterophoria法を関連づけて覚えることはすごく大切です!

【第5問】ー 第46回 午前74問

答え:3

解説:この問題も【第3問】、【第4問】と同様に被検者の屈折度を踏まえて考える問題!問題文を見ると「完全矯正下と裸眼での眼位」を比較している。屈折度は両眼とも3.0Dの遠視眼、裸眼の状態を言い換えると「完全矯正下に-3.0Dのレンズを負荷したのと同じこと」。つまり完全矯正下と-3.0D負荷時の眼位を比べているので問題文中の遠見眼位を使って「far gradient法」の計算式で解いていく!

AC/A比は、21(Δ)÷7(D)=4(Δ/D)となります。「輻湊量がなぜ21(Δ)になるの?」、「輻湊量がなぜ7(D)になるの?」とわからなくなった方はもう一度【第3問】、【第4問】を見返してみて下さい!

最後に

視能訓練士国家試験対策シリーズと題して、今回は「AC/A比」についてまとめました。

この記事を勉強する際の参考にして頂けたらと思います。毎年2月末に行われる国家試験合格に向けて一緒に勉強していきましょう!

若手視能訓練士・学生向けのマンツーマンコーチングを行っています!「国家試験に向けて勉強を教えてほしい」、「臨床的な疑問を相談したい」など何でもOKです!ご評価頂いています!

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