いつも読んで頂きありがとうございます。
私自身、1年目の頃は、眼球運動を視診で評価することが難しく、正常な動きなのか、異常な動きなのかに迷うことが多々ありました。
そんな経験から、今回は、眼球運動を視診で行うことに難しさを感じている方に向けて、私が眼球運動を評価する際に1番意識していることを書いていこうと思います!
眼球運動の正常範囲について
視診で眼球運動を評価する上で、正常範囲を頭に入れておくことは非常に重要です。
ここでは、教科書的な書き方と、私なりに嚙み砕いた書き方の2種類書いてみますので、読まれている方はご自身がわかりやすいと思う方で覚えて頂ければと思います!
私なりの覚え方は、瞳孔→黒目、角膜→茶目として考えるようにして、内転のみ黒目を診る、それ以外は茶目を診ると覚えるようにしています。
内転について
<教科書の書き方>
・瞳孔内縁が上下涙点を結ぶ線まで達する。
<噛み砕いた書き方>
・黒目の内側が上下涙点までくる。
外転について
<教科書の書き方>
・角膜外縁が外眼角まで達する。
<噛み砕いた書き方>
・茶目の外側が目尻までくる。
上転について
<教科書の書き方>
・角膜下縁が内外眼角を結ぶ線上に達する。
<噛み砕いた書き方>
・茶目の下側が眼の真ん中までくる。
※眼の真ん中は内外眼角を結ぶ線上のことを表しています。
下転について
<教科書の書き方>
・角膜上縁が内外眼角を結ぶ線上に達する。
<噛み砕いた書き方>
・茶目の上側が眼の真ん中までくる。
※眼の真ん中は内外眼角を結ぶ線上のことを表しています。
参考文献:丸尾敏夫. 視能学第2版. 文光堂, 2014 ,342.
視診での眼球運動検査で一番意識していること
いきなり結論から書きます!
一番意識していることは、
『むき運動だけでなく、異常を疑う時はひき運動も確認する!』
ということです。
私自身、養成校時代の授業で、「眼球運動を視診で評価する際には、むき運動だけではなく、ひき運動もみましょう!」と習ったもののどういった状況なのか、臨床現場に出るまで理解できませんでした。
以下で「なぜひき運動も確認する必要があるのか?」について解説をしていきます!
むき運動とひき運動【言葉の定義】
むき運動→ 両眼運動とも呼ばれ、両眼開放下での眼球運動を指します。
ひき運動→ 単眼運動とも呼ばれ、片眼遮蔽時の単眼の眼球運動を指します。
参考文献:丸尾敏夫. 視能学第2版. 文光堂, 2014 ,342.
なぜひき運動も確認する必要があるのか?
これも結論から書いていきます!
むき運動で異常があるようにみえても、ひき運動では制限がなく、眼球運動が正常な場合があるからです。
<眼球運動検査を視診で行う際の流れ>
① 各方向のむき運動を確認。→ この際、下方の動きを診るときは、上まぶたが眼にかからないように挙上しておくと眼球運動が診やすいです!
②-1. むき運動で異常がなければ眼球運動は正常。
②-2. むき運動で異常がありそうな場合は、片眼を遮蔽してひき運動をチェック。ひき運動を確認する際は、固視目標をしっかり正面視させてから、各方面の眼球運動を診ていきます!
③ ひき運動にて異常がなければ、眼球運動は正常。異常があれば、眼球運動は異常となります。
大角度の顕性斜視の場合は特に注意しよう!
大角度の顕性斜視がある場合、むき運動では斜視眼に大きな制限(遅動)があるようにみえることが多くあります!このような時にむき運動だけで眼球運動を評価しないように気を付けましょう!
例を出してみます!
例)R)45△XT 固視交代不可
むき運動では、左方視時に右眼に内転制限があるようにみえる。→ スタートの時点で右眼はかなり外にあるため、眼球運動が正常でも、むき運動ではこのように制限があるようにみえます!
こういう時に、ひき運動を診る!ということになります。
右眼のひき運動を確認する。→ 片眼で固視をさせることで、スタートの位置が正面になる。この状態で眼球運動を確認していく。もう一度左方視を確認し、これでも制限があるなら遅動(+)、制限ないなら眼球運動は正常となります。
最後に
今回は、眼球運動検査を視診で行う上でのポイントを書いてみました!
眼球運動の評価は、慣れるまでは難しさもあると思いますが、「眼球運動の最終評価はひき運動」で行うということを意識して検査をして頂ければと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
