今回は乳幼児の検査時のポイントについて!
みなさんは、「乳幼児の内眼角贅皮」と聞くとどんなことを思い浮かべますか?
乳幼児の内眼角贅皮は一見内斜視のようにみえるため、3歳児健診等で内斜視疑いとなったり、保護者の方が目が内に寄っている気がするという主訴で眼科を受診するケースがあります。
そこで今回は、内眼角贅皮がみられる乳幼児の検査を行う上でのポイントを紹介していきます!
内眼角贅皮とは?
内眼角贅皮とは、鼻が低いことによって、目頭側の皮膚が弛んでいる状態です。
- 乳幼児は顔の形も成長段階であるため、鼻が低いことが多く内眼角贅皮がみられることが多々あります。
- 内眼角贅皮があると目頭側の皮膚が弛むため、内斜視様の見た目になりやすい!
- 見た目に惑わされず、偽斜視も念頭に検査を進めていく!
*乳幼児(0~6歳)のまだ鼻が低いことによって起こる内眼角贅皮は成長とともに消失することも多いです。
ダウン症候群でみられる内眼角贅皮は要注意!
「内眼角贅皮=偽斜視も念頭に」というイメージができたと思いますが、ダウン症候群では内眼角贅皮がみられるのに真の内斜視を伴うことが多々あるので、検査の際は注意が必要です。
内眼角贅皮での検査時のポイント!
ここからもう少し詳しい内容に入っていきます!
若手視能訓練士の皆さんは、乳幼児の検査をしていて内眼角贅皮がみられたらどのようなことを意識していますか?
乳幼児の内眼角贅皮がみられたら、「偽のもの(見た目がそう見えるだけ)?」or 「真のもの?」のどちらかを検査を通して見極めていきましょう!
①偽内斜視について
真の内斜視 or 偽内斜視なのかを見極めるための検査方法をいくつか挙げてみます。
Hirschberg法
Hirchberg法は簡便な検査なので乳幼児の斜視検査でとても有用!
簡便さがメリットですが、非常に大まかな検査であることは注意が必要です!
Hirschberg法は、記載の際に『 looking ortho 』と書くように斜視角が小さい場合は見極めることが難しいです。中等度から大角度の斜視がないかをざっくり見極める検査となります。
遮蔽試験(CUT、ACT)
2歳くらいまでは上記した光視標を用いたHirschberg法を行い、固視ができるようになる3歳前後からはアンパンマンなどの固視目標を使って遮蔽試験を行っていきます!
*子供によっては1〜2歳でも遮蔽試験をできることがあるので3歳未満でもトライしてみるのはあり!
・遮蔽試験が難しいなと感じた時は?
慣れないうちは難しさを感じると思いますが、近見からやってみる!視標が遠くにある遠見での眼位検査よりも近見の方が集中して見てくれます!アンパンマンなど子どもが興味を持ちそうな固視目標を使ってみるのもおすすめ!
CUTで顕性斜視の有無を見極めて、ACTで潜伏しているものも含めた全斜視角も検出していきます!
過去に撮影した写真の角膜反射を確認
日頃の状態を確認するために非常におすすめの方法です!
保護者の方に、過去に撮影した写真を見せてもらい角膜反射を確認します。
ポイントは正面視をしている写真で確認をするということです。
側方視の写真では、角膜反射がズレて正しい評価ができないため、親御さんに写真を撮ってきていただく際はなるべく正面から撮ってもらうように伝えましょう!
【ここまでのまとめ】
上記した3つの斜視検査の精度についてまとめてみます!
写真とHirschberg法はどちらも角膜反射をみていますが、実際に自分で検査行うHirschberg法が精度は高く、斜視の有無を見極める上で、遮蔽試験が圧倒的に精度が高いです!
「精度が高い検査=難易度が上がる」ため、検査時に遮蔽試験を頑張りすぎて、泣いたり嫌がってしまったりしてHirschberg法もできなかったとならないように、遮蔽試験ができるが微妙な年齢の際は、簡便なHirschberg法→遮蔽試験の順で行うと良いと思います!
②偽下斜筋過動について
私自身、内眼角贅皮で、偽下斜筋過動がみられることについては、臨床で働き始めて知りました。
例を出して説明をしていきます。
例)3歳8か月 男児
S)3歳児健診で内斜視疑いの指摘。お母さんより、目が内に寄っていることと、横を向いたときに目が上に行くことが気になる。
O)年齢的に、まだ鼻が低く内眼角贅皮がありそう。
・遮蔽試験を行うことができ、斜視は(-) →内眼角贅皮による偽内斜視。
・眼球運動検査を行うと、両眼ともに下斜筋過動のようにみえる!
真の下斜筋過動と見極める方法は?
内眼角贅皮がみられる場合、上下のまぶたのうち、下のまぶたに比べて上のまぶたの方が結膜(白目)を覆っている範囲が広いことが多いです!
そのため、眼球運動検査で内転をさせると、下斜筋過動のようにみえることがあります。
- この方法で眼球運動が正常→ 偽下斜筋過動
- この方法でも、下斜筋過動がみられる→ 真の下斜筋過動となります。
最後に
今回は、内眼角贅皮がみられる乳幼児の検査を行う上でのポイントを紹介させて頂きました。
臨床現場で検査をされる際に参考にしてみて下さい。若手の方々は難しく感じることも多いと思いますが、一緒に頑張っていきましょう!
最後まで読んで頂きありがとうございました!