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小児の視機能を評価する上で、「視力はかなり重要な項目」となります。視力検査の種類は、grating acuity card法、ドットカード法、絵視力、ランドルト環視力検査などがあります。ラ環での視力検査が一番難易度が高いものとなり、「難易度が高い=信頼性がある」ということになりますので、視力の評価はラ環で評価をすることが理想です。
ラ環での視力検査のうち、遠見視力に比べて、近見視力は比較的検査を行いやすく3歳未満でもやってくれることが多くあります。
今回は、ラ環での近見視力検査についての有用性、そして測定時の注意点について解説をしてきます。
小児検査では飽きさせないことが重要!
私自身もそうだったのですが、臨床経験が浅いうちにありがちなことは、1つの検査に時間をかけてしまって、小児の集中力がなくなり、他の検査ができなくなってしまうことだと思います。
その日に欲しいデータは、その日のうちに全て測定できるよう検者として小児を飽きさせない工夫をすることが大切です!
1つの検査に時間をかけすぎない
例えば、初診で3歳児健診で視力検査が上手くできず眼科受診を促された小児が来院したとします。
ORTとして腕の見せ所ですよね。なんとしてもレフ・ケラト、視力を(できれば眼位、立体視等も)測りたいという気持ちになると思います。
私自身、遠見視力検査ができそうで、できないから20分くらいやってみたけど結局上手く測れなかったなど数々の失敗をしてきました。近見視力検査や立体視検査は小児は面白がってやってくれることが多いかなという印象です。
難しそうなら粘らずに、他の検査に切り替えるということも大切かなと思っています。
ラ環での近見視力検査の有用性
ラ環での近見視力検査の有用性 を4つ書いてみます。
①小児が興味を持ちやすい、②ラ環での検査なので信頼性が高い、③遠見視力の再現性がとれる、④心因性視覚障害を疑う場合に効果的など。
以下で説明をしていきます!
①小児が興味を持ちやすい
視標が近くにあるため、遠見視力検査に比べて小児が興味を持ちやすいです。視力検査に慣れていない年齢が低い小児の場合は、ハンドルを持たせることで圧倒的に検査がスムーズになるのでおすすめです!
※完全矯正度数を調べるという点では遠見視力検査が優位となります。
②ラ環での検査なので信頼性が高い
冒頭でも書かせて頂きましたが、視力検査の中でラ環を用いた物が一番信頼性が高いです。遠見視力検査ができそうだけど難しい場合に、視力の機能を評価したい場合はラ環での近見視力がかなり有用となります。
③遠見視力の再現性がとれる
これはかなり重要なポイントだと考えています。
臨床現場で小児対して遠見視力検査をしていて、初めて1.0~1.5(裸眼or矯正で)まで出た時は嬉しさ反面、「本当に見えているのかな?」と不安になることがあると思います。
そんな時に、遠見と同じ条件(最高視力が出た状態が裸眼なら裸眼で、矯正下なら矯正下)で、近見視力を測定することで再現性がとれます!
眼位異常がない場合であれば、近見視力に加えて立体視検査も行うことでさらに再現性は上がります。
※立体視検査は、1.両眼の視力が良好なこと、2.眼位異常がないことで得られる機能なので、眼位異常がない小児で立体視が良好であれば視力が良好である裏付けとなります。
④心因性視覚障害を疑う場合に効果的
ラ環での近見視力は心因性視覚障害を疑う場合にとても有用です。→私自身、臨床現場でかなり使っています。
この内容については、以下の記事に詳しくまとめていますので、興味を持たれた方・心因性視覚障害の検査が上手くなりたい方はぜひ読んでみて下さい!

近見視力測定時の注意点
近見視力測定時には、
『検査距離が30cmより近くなっていないか意識することが大切です!』
検査距離が近くなると検査結果が変わってきます。例を出してみます。
例)ラ環の近見視力にて、1.0の視標まで見えたとします。
検査距離をきちんと30cmで行っていれば、1.0の評価ができますが、もし気づかないうちに20cmでやってしまっていたとするとどうなると思いますか?
1.0×2/3=0.67となり、実際には0.6程度までしか測れていないことになります。
10cm近づいただけでこのように結果が変わるため、近見視力検査では検査距離がとても重要ということがわかって頂けたかと思います!
①小児はラ環を見ようとして近づきやすい、②小児の検査に慣れないうちは、頑張って視力を出そうとして、ORTも気づかない間に近づいていることがある。
近見視力では、①、②のことから検査距離が近くなりがちな印象です!
ORT学生さんは、学生のうちから目測で30cmの感覚を掴めていれば、働き始めてプラスになるので学内実習で距離の感覚を練習してみて下さい!
最後に
今回は、小児に対して、ラ環での近見視力検査を行う有用性、そして測定時の注意点についてまとめてみました。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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