いつも読んで頂きありがとうございます。
眼鏡処方について、前回の記事で「検査手技編」をまとめています。まだ記事を読まれていない方は、以下の記事を先に読んで頂くことをより理解して頂けると思います。

若手視能訓練士の方の中には、『眼鏡処方を行う上でコミュニケーションが大事なことはわかっているけど、いざやってみると難しさを感じる』という方がおられると思います。
今回は、コミュニケーションスキルを高めるために私が新人時代に実践していたことなども含めて、眼鏡処方を行う上での「コミュニケーション」について書いていきます!
眼鏡処方とコミュニケーションスキル
眼鏡合わせは、患者さんの現在見え方で困っていることを聞き出し、当日合わせた眼鏡を、患者さんに今後の生活で納得して使って頂くことが重要となります。そのための問診・説明・相談を行う際にコミュニケーションスキルが大切になってきます。
コミュニケーションスキルに自信がないORTには眼鏡処方ができない?
そんなことはありません!
現段階で、コミュニケーションに自信がない(うまく説明ができない・行き詰ってしまうなど)と感じている若手視能訓練士の方がおられると思います。
結論から言います!コミュニケーションスキルは努力次第で高めることができると考えています!
元々、私はコミュニケーションスキルに自信がない方でした。新人の頃、眼鏡処方時に自分はわかりやすく説明しているつもりでも、患者さんに伝わっていないなと感じることが多々ありました。検査手技の上達は実感できているけど、コミュニケーションが難しいなと感じる日々でした。そんな私でも、現在は患者さんに満足して頂ける眼鏡処方をできるようになっていますので、現段階で、自信がないからといって悲観する必要はないと思います!
【たった1つだけ】私がスキルを高めるために実践していたこと
『自分の説明で上手く伝わらなかった内容は、その日のうちに振り返り、伝わりやすい内容になるよう考え直す!』
どうやったら伝わっていたのか、その日のうちに自分なりに考え直して、次回以降、同じ内容の説明をする時に伝わりやすくなる説明を考えていました。
これを繰り返しているうちに、だんだんと患者さんに伝わる・納得してもらえる説明ができるようになっていました。
この方法は、眼鏡処方に限らず、検査中などに患者さんから質問を受けた際の返答にも活きると思います!今、コミュニケーションに難しさを感じている若手視能訓練士の方は1つの方法として参考にしてみてください。
問診では最初にこれを聞き出そう!
眼鏡合わせを行う上で、『患者さんが今何に困っているのか?』を聞き出すことが重要です!困っていることを聞いた上で、当日の視力・屈折度などから、こういう眼鏡を作ると良いことを、視能訓練士として提案する!
ここで重要なことは、あくまで視能訓練士は提案を行うということ!
主訴(困っていること・希望)を聞いて、「こういった方法がありますよ!」という提案を行い、患者さんに選択肢を与え、患者さんと一緒に最良の選択を行うことが大切です。
実際の問診から処方までの流れ
例を出してみます。
30歳 男性
S)現在、毎日SCLで生活しているが、目を休める時のための眼鏡を作りたい。
眼鏡は壊れて今は手持ちがない状態。SCL度数はB)S-3.5Dを使用中。
RV=0.08(1.5×S-4.0D)
LV=0.08(1.5×S-4.0D)
RV=(1.2×SCL)
LV=(1.2×SCL) BV=(1.5×SCL)
眼鏡合わせに慣れていない場合は、現SCLでBV=(1.5)の状態のため、今回作る眼鏡もBV=(1.5)で作るのかな?と考えがちですが、その「〇〇かな?」と疑問に思ったことを、自分だけで考えるのではなく、患者さんに聞くとスムーズに眼鏡合わせを進めることができます!
問診で以下の質問をしたとします。
・患者さんに今回作る眼鏡は外でも使いますか?→家の中でしか使わないのでコンタクトほど遠くは見えなくて良いです!とのこと。
・家の中では、遠くはどれくらいの距離が見えたら良いですか?→1.5mくらいの位置にあるテレビが見えたら良いです!
今回の処方は上記の問診が取れたら、スムーズに進みます。
この先は視能訓練士としての知識を活かして、患者さんに今回作成する眼鏡についての提案を行う!
①遠くの見え方も重視されるのであれば、両眼で1.2~1.5見えるようにしておいた方がよいこと。
②室内用であれば、両眼で1.5も見えていたら見えすぎて疲れる可能性があるので、少し弱めに合わせることもできることの2つを伝える!
患者さんと相談し、家でしか使わないし、眼鏡はしばらく使っていないとのことでしたので、かけやすさも考慮して、ccから0.5D下げた度数で装用テストを行った。→テレビが1.5mなので2m範囲内は見えるような度数にしています。
RV=(0.9×S-3.5D)
LV=(0.9×S-3.5D) BV=(1.0)
装用テストの際は、「遠くの見え方はこれくらいで良いか?」、「かけていてきつい感じがないか?」を確認してもらう。この時に、待合室にテレビがあれば家での距離で見え方を試して頂くと良いです!
装用テスト後、見え方に問題なく、頭痛やクラクラする感じがないことを確認し処方を行います。
最後に
眼鏡処方について、「検査手技編」、「コミュニケーション編」の2つに分けてまとめてみました!
眼鏡処方に限らず、仕事をしていると悩むこと・嫌になることがあると思いますが、そこを乗り越えると仕事のやりがい・楽しさなどが見えてくるかなと感じています!
若手のうちに、とにかくたくさんの症例・検査に触れて、失敗・努力をして、経験を積むことが大切だと思います。
眼鏡処方については、様々な意見があると思いますが、1つの考え方として参考にして頂ければと思います。最後まで読んで頂きありがとうございました。
