小児の仮性近視はこれで見抜く!

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いきなりですが、若手ORTのみなさんは、小児の視力検査で、軽度近視の結果が得られた際に、仮性近視or単純近視か(本当に近視があるのか)を迷われた経験がありませんか?

私自身、ORTとして働き始めの頃は迷うことが多々ありました。

視能訓練士として、得られた軽度近視の検査結果が仮性近視か単純近視なのかを見抜く能力があれば、小児の検査を行いやすくなりますので、今回は仮性近視で注目する2つのポイントを紹介していきます!

※仮性近視は、基本的に矯正視力が良好な症例の話になりますので、弱視症例は含みません。また、眼位、立体視は良好な症例とします。

目次

仮性近視とは

仮性近視(pseudomyopia)とは、近業の影響を受け、毛様体筋の緊張が亢進した状態をいう。1) 

調節緊張症偽近視と言われることもあります。

このような文章は、教科書等で目にすることが多いと思いますが、「 結局どういうこと?」と思われている方もおられると思います。

わかりやすく書くと、本来は近視がない眼なのに、一時的に眼に力が入り(調節が入り)近視のような状態になっているということ。→ 裸眼で過ごして問題がない眼なので、近視用の眼鏡は作成せずに、眼の力を抜いてあげることが大事になります。

ここをみる!【見抜く2つのポイント】

① レフ値いっぱいまで近視度数を入れないと最高視力が出ない。
② 完全矯正度数に対する裸眼視力が通常より出にくい。

この2点について以下で解説をしていきます。

① レフ値いっぱいまで近視度数を入れないと最高視力が出ない

通常はレフ測定時には、機械が眼に近づくことにより近接性輻輳が起こり、さらに中の視標を見ることで調節が入るので、近視眼の場合は、実際の完全矯正度数より、強い度数がされることが多いです。特に、調節力の強い小児では、より調節の影響を受けることになります!

つまり、小児の近視眼では、レフ値より弱い度数で最高視力が出ることが多いということになります。

しかし、仮性近視症例では、レフ値いっぱいまで度数を入れないと最高視力が出ないケースが多々ある

② 完全矯正度数に対する裸眼視力が通常より出にくい

まずは、矯正視力が良好な症例の完全矯正度数と裸眼視力の関係性を知っておく必要があります。通常、完全矯正度数が-1.5Dの場合は、裸眼視力は0.3くらい出ますが、仮性近視を疑う場合は0.1くらいと出にくい印象です。

※「完全矯正度数と裸眼視力の関係性」については、以下の記事で紹介をしています。詳しくは私が行っているzoom勉強会で解説をしていますので、気軽にご参加下さい。

この①と②の2つの条件が揃った時には、眼軸長を測定して、ケラトと眼軸長から屈折度を予測して、仮性近視でないか(水晶体に力が入っていないか)を精査するようにしています。→ 屈折度の予測に自信がない方は以下の記事を読んで頂くと、より理解が深まると思います!

仮性近視を疑った場合の検査の流れ

ここまでのおさらいとして、最後に検査の流れをまとめます。

①通常通り、レフ・ケラトを測定し、視力検査を行う。→ 軽度近視の検査結果で矯正視力良好だが、検査をしていて通常の近視の子とは異なる印象だった。(上記した見抜く2つのポイントが当てはまるということ)

② 眼軸長を測定。

角膜屈折力、眼軸長、完全矯正度数から、水晶体の状態(調節の有無)を予測する。→屈折度の予測を行う!

④ ③の予測で調節が入っていそうな場合には、サイプレジンテストを行う。(いきなりサイプレを行わずに1ヶ月程度ミドリンMを試すこともあります)

⑤サイプレ後にレフを測定。完全矯正度数に比べて、サイプレ後のレフ値の近視度数が軽くなっている場合は仮性近視に対する治療を行い、変わらない場合は必要に応じて眼鏡処方を行う。

※この流れは、あくまで私の考え方なので、眼軸測定やサイプレジンテストなどは施設によって考え方が異なると思いますので、そちらを優先して頂ければと思います。

最後に

医師の診察にて、仮性近視と診断された場合は、ミドリンMなどを点眼し、毛様体筋の緊張状態を和らげた後に、眼鏡処方の有無を検討することになります。

若手視能訓練士の方は、軽度近視の検査結果が得られた場合に、仮性近視か単純近視なのかを迷うことがあるのではないかと思い、今回の記事を書いてみました!

今回の内容はあくまで個人的な考え方になりますので、小児検査を行う上での考え方の1つとして参考にしてみて下さい。

<参考文献>

1) 飯田知弘ほか. “眼の屈折” 現代の眼科学 改訂第12版. 所敬ほか編. 東京, 金原出版, 2015 , 54 .

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